2021年9月20日12時30分(日本時間20日19時30分)フランスを代表するパラスホテルであるホテル・ド・クリヨンに於いて、Kura Master 2021 日本酒コンクールおよび本格焼酎・泡盛コンクールそれぞれの「プレジデント賞※1」と「Kura Master審査員賞※2」を発表致しました。
※1 プレジデント賞:すべての出品酒の中から選ばれる最高賞
※2 Kura Master審査員賞:各出品カテゴリーのトップ5又はトップ2より選ばれる賞
- Kura Master 2021 日本酒コンクール プレジデント賞
- Kura Master 2021 本格焼酎・泡盛コンクール プレジデント賞
- Kura Master 2021 日本酒コンクール 審査員賞
- Kura Master 2021 本格焼酎・泡盛コンクール 審査員賞
- 発表式概要
- プレジデント賞について
- 審査委員長からプレジデント賞受賞酒についての評価コメント
- 門司健次郎様 Kura Master名誉会長 就任ご挨拶
- 駐フランス日本国大使 伊原純一様
- 国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)日本政府代表部 特命全権大使 尾池厚之様 乾杯ご挨拶
- 日本酒部門 審査委員会 パズ・ルバンソン副委員長より閉会のことば
Kura Master 2021 日本酒コンクール プレジデント賞
Kura Master 2021 日本酒コンクール 審査員賞
純米酒部門
純米大吟醸酒部門
サケ スパークリング部門
米品種 五百万石部門
米品種 美山錦部門
Kura Master 2021 本格焼酎・泡盛コンクール 審査員賞
芋焼酎部門
米焼酎部門
麦焼酎部門
佐賀県 宗政酒造株式会社 「本格麦焼酎のんのこ THE APPLE」
黒糖焼酎部門
泡盛部門
樽貯蔵(焼酎・泡盛)部門
本年度の発表式は、Xavier Thuizat日本酒コンクール審査委員長の開会の挨拶に始まり、Kura Master名誉会長に就任された 門司健次郎様より就任のご挨拶を頂戴しました。
続いて、伊原純一 駐フランス日本国大使からのご挨拶、尾池厚之 国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)日本政府代表部 特命全権大使より乾杯のご発声を頂戴した後、各審査委員長よりプレジデント賞、審査員賞の発表が行われ、プレジデント賞を伊原純一 駐フランス日本国大使より、審査員賞を門司健次郎Kura Master名誉会長より受賞した蔵元様へ授与されました。最後に、Kura Master日本酒部門 審査委員会のPaz Levinson副委員長より閉会の挨拶とあわせて2022年度のコンクール開催日の発表がされ今年度の発表式を閉幕しました。
発表式はフランス政府のガイドラインに基づき万全の感染防止対策を講じて実施致しました。なお、受賞蔵元全員の渡仏が困難であることを鑑み、パリの会場と日本各地の受賞蔵元をオンラインで繋ぎ、発表式の様子をYouTube LIVEで全世界に向けて配信致しました。
プレジデント賞について
今年7月12日にパリで行われた審査会では、フランス全土から集まったトップソムリエら72名の審査員がブラインドで日本酒のテイスティング審査を行いました。過去最多となる312蔵より960銘柄のエントリーがあり、小澤酒造株式会社(東京都)「澤乃井 純米大吟醸」は、その中から選ばれる最高賞の「プレジデント賞」に選出されました。
プレジデント賞を受賞した小澤酒造株式会社 代表取締役 小澤 幹夫様より受賞の喜びのコメントを頂いています。
「この度はプレジデント賞という栄誉ある賞を頂き心より嬉しく思います。東京オリンピックが開催された本年に東京の酒蔵である弊社がこのような賞を受賞出来たことは蔵の歴史の中でも大きな事象として語り継いでいきたいと思います。東京といえば都会的なイメージが先行しがちですが、同時に美しい自然を有しております。自然と共存しながら継承してきた伝統「澤乃井」を世界中の人に感じて頂きたいです。」
また本年度より新設され、日本酒コンクールと同時開催をした本格焼酎・泡盛コンクールでは、Christophe Davoine審査委員長をはじめとする MOF(国家最優秀職人章)4名、フランスを代表するソムリエ、バーテンダーやカーヴィストなど、飲料業界のプロフェッショナル31名が集まり、日本酒と同様にブラインドでテイスティング審査を行いました。初年度にもかかわらず75蔵より164銘柄が出品され、知覧醸造株式会社(鹿児島県)「知覧Tea酎」がその頂点となるプレジデント賞に決定致しました。
プレジデント賞を受賞した知覧醸造株式会社 代表取締役 森 暢様より受賞の喜びのコメントを頂いています。
「栄誉ある賞を受賞させて頂き、大変驚き、また同時に大変嬉しく思っております。私どもは代々芋焼酎製造業と緑茶の生産農家を兼業して参りました。その中で焼酎と緑茶の美味しさを一つに出来ないかと考えており、四年前に初めて “知覧Tea 酎” を製造いたしました。蔵元一同、この賞を受賞させていただいたことを誇りに今後も焼酎造りに精進して参ります。この度は誠にありがとうございました。最後にコロナ禍において世界中が大変な時でございますが、一日も早く終息し仲間が集い肩を並べ飲食を楽しめる世界が訪れますよう願います。」
審査委員長からプレジデント賞受賞酒についての評価コメント
日本酒コンクール審査委員長 Xavier Thuizatと、本格焼酎・泡盛コンクール審査員長 Christophe Davoineは、それぞれ以下コメントを発表しております。
小澤酒造株式会社「澤乃井 純米大吟醸」の評価コメント
「まず表現豊かな香りに圧倒されます。際立った最高のアロマは、ホワイトペッパーのような香り、スパイス、白い花、熟した白い果実などを思わせる香りが広がります。味わいは、香りの延長が続き、ホワイトペッパーとデリケートなスパイシー感。口に含むと柔らかな触感が響き合い、日本酒だけが持つ、美食との調和性の核になる軽い苦味を帯びながら、最後まで長い余韻が繋がっていきます。集中されているアロマを開かせるためにも事前にカラフに注ぎ、大きめのワイングラスでサーブすることを勧めます。偉大な日本酒です。」Xavier Thuizat
知覧醸造株式会社「知覧Tea酎」の評価コメント
「今年のKura Masterコンクールで私の心を奪ったこの焼酎について語ります。まず香りの驚き。大変美しい複雑感のある香りです。続いて味わいにも驚かされました。原材料である薩摩芋、さらにハーブや野菜の風味が濃密にしっかりと味わいの中に続きます。コンクールの後、この焼酎をハイボールとして飲んでみましたが、ソーダで割っても特徴を失うことなくむしろさらに風味が広がりました。この蒸留酒を生み出した生産者の方、ブラボー!讃えます。」Christophe Davoine
門司健次郎様 Kura Master名誉会長 就任ご挨拶 (日本語訳抜粋)
「まず、テュイザ様、宮川様、そして審査委員の皆様に対し、クラ・マスター・コンクールの名誉会長にご指名いただきましたことを心より感謝申し上げます。この権威あるコンクールの活動に関与できますことは、私の大いなる喜び及び名誉とするところであります。また、この機会に、その卓越した業績により本年栄えある受賞に輝かれた全ての蔵元の皆様に心からのお祝いを申し上げます。
2017年のクラ・マスター立ち上げの際に、日本の外交官として、また、酒サムライとして、お祝いの言葉をお贈りいたしました。何故なら、フランスにおけるこのようなイベントの開催は、フランスの方々に日本酒を発見していただく素晴しい機会を提供するであろうと思われたからです。
クラ・マスターは、この4年間に私の期待を遙かに越え、その重要性と権威を増大させてきました。第5回目を迎える本年、クラ・マスターは、本格焼酎と泡盛のコンクールにも扉を開きました。かかる成功のためにご尽力なされた全ての方々への大いなる感謝と賞賛の念を改めて表明いたします。
ご存じのことかと思いますが、残念ながら日本酒は日本において大きな困難に直面しています。2019年の生産量はピーク時の1973年の僅か4分の1にすぎませんでした。私は、クラ・マスターが、日本酒とフランス料理との素晴しい相性を示すことで、新たな商業的販路を開くことにより、日本酒が低迷から脱却することを支援してくれるであろうと確信しております。多くの人々が、日本酒は日本料理のみならず世界の多様な料理と相性が良いことを発見することができるでしょう。
和食がユネスコ無形文化遺産に登録されたのは2013年のことでした。私は、当時ユネスコ大使でしたので、その瞬間をよく覚えております。それ以来、日本酒も同様に登録されるよう強く訴え続けてきました。今や日本政府も登録に前向きになりました。このような日本酒の国際的認定により、世界中で日本酒の普及が促進されることでしょう。皆様、そして全ての日本酒愛好家の方々とこの観点から力を合わせていきますことを楽しみにしております。
最後に、私に託されましたご信頼に対し改めて感謝申し上げますとともに、全ての皆様の更なるご成功を祈念いたしまして私のご挨拶といたします。」
駐フランス日本国大使 伊原純一様 (日本語訳抜粋)
「皆様こんにちは。
今年もこのイベントに参加することができて大変嬉しく思っております。
まず、新型コロナウイルス感染症がいまだ収束していない中で、本日の発表式の開催に向けたKura Master関係者の皆様のご尽力に心から敬意を表します。
次に、日本酒TOP16及び本格焼酎・泡盛TOP13に選ばれた蔵元の皆様にお祝い申し上げます。一部の方々は、このオテル・ド・クリヨンの会場にいらっしゃっております。パリへようこそ、そして、おめでとうございます。
また、元カナダ大使で、私の非常に尊敬する先輩でもあり、Kura Master名誉会長に就任された門司氏と再会できたことは、私にとって嬉しい驚きです。門司氏は、有能な外交官として非常に高く評価されていただけでなく、日本酒通、日本酒の伝道師としても昔から有名でした。まさに名誉会長に適任であります。
今年で5年目を迎えるKura Masterは、その規模と独自性によって、欧州の主要な日本酒コンクールとして確個たる地位を築いております。今年は、昨年から約一割増えて312の蔵元が日本酒コンクールに参加しました。このコンクールがユニークなのは、フランス人をはじめとする外国人の審査員の方々が、日本から送られてきた本物の日本酒を評価するという点です。そこには、日本酒のグローバル化を背景として、二つの付加価値があります。一つ目は、日本酒を評価するに当たり、日本人の感性にフランスの感性が加わることで、この伝統的な飲料の新たな魅力が発見され、世界でますます市場を広げることが可能になるという点です。二つ目は、フランス人は何世紀にもわたってワインを味わってきており、フランス語にはそれぞれの日本酒の特徴を表現する言葉が存在しますが、それによって日本酒の魅力をより深く言語化し、外国の方々によりよく伝えることができるようになるということです。
今年からは、本格焼酎・泡盛部門が新設されました。フランスの方々に、日本の酒文化をこれまで以上に幅広く体験してもらうきっかけになると期待しております。
最後に、Kura Masterの成功、日本酒、本格焼酎・泡盛の益々の発展、そして皆様のご健勝を祈念しまして、私の挨拶とさせていいただきます。」
国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)日本政府代表部 特命全権大使 尾池厚之様 乾杯ご挨拶 (日本語訳論旨抜粋)
私は日本酒、焼酎、泡盛が大好きなのです。
当代表部としても、昼食会や晩餐会では必ず日本酒、焼酎、泡盛を供し、折りに触れて外交の場で日本の酒の魅力を発信しています。日本の酒は日本外交にとり重要です。
ユネスコは教育、文化、科学の発展と推進を目的とする国際機関ですが、日本では世界遺産および無形文化遺産で知られています。
日本酒は、日本にとり重要な無形文化遺産であり、作り手の皆様の日々様々な努力により作られています。
ユネスコ無形文化遺産への登録を目指す動きについて、まずは日本国内での選考プロセスがありますが、政府が日本酒登録を目指すことが決定した後の対応は、当代表部の仕事になるので、その際は登録を目指して最大限頑張っていきたいです。
準備はよろしいですか?
それとももう少し喋りましょうか?
今年の7月にユネスコは奄美大島・沖縄地区の4島を世界自然遺産として登録いたしました。
準備ができたようですので3つの事に乾杯したいと思います。
先ずこの大成功したコンクールをオーガナイズした運営委員会、そして参加した審査員の皆様にお祝いを述べたいと思います。
次に、この後すぐ発表されますが受賞される蔵元様に。
最後に、将来日本酒と焼酎、泡盛が無形文化遺産に登録されることを願って。
そしてもちろんフランスと日本との友情に。乾杯!
日本酒部門 審査委員会 Paz Levinson副委員長より(日本語訳抜粋)
「本日は発表式にご出席いただき、誠にありがとうございます。Kura Masterは、フランスで最も重要なソムリエや飲料ジャーナリスト達を、日本酒の世界に引き寄せることができる専門集団です。私はKura Masterの審査会に初回から毎年参加してきましたが、このコンテストの副会長として関われることはとても光栄なことであり、また、毎年審査員として参加できることは私の喜びでもあります。ソムリエに日本酒の教育をするための最良の方法は、彼らに味を与え、自身で表現し、感情や感覚を共有する体験です。Kura Masterは専門家のためのイベントであり、専門家を養成するイベントでもあります。彼らはこの教育との出会い、そしてKura Masterの創設者が指導する日本研修旅行のお陰で、日本酒と日本文化への情熱を育んでいます。Kura Masterはフランスで最も重要な日本酒の評価コンテストですが、今年から、本格焼酎と泡盛にも門戸が開かれました。様々な味わいとの関連性を絶えず探している私たちソムリエに新たな宇宙が与えられました。日本酒は、料理だけでなくカクテルにも、たくさんの興味深いインスピレーションを与える飲み物です。焼酎には多様な原材料、アルコール度数や蒸留方法といった豊かさがあり、料理やカクテルを追求するシェフやバーテンダーに今後さらに刺激を与え、特別なツールになっていくでしょう。この授賞式は、異なる地域や酒米、日本酒のタイプを発見するツアーのようでした。多様性が鍵であり、徹底したブラインド・テイスティングは、先入観に囚われることのない真剣な審査に繋がっています。毎年エントリーして下さる蔵元の皆様に心から感謝します。これまでにKura Masterにエントリーされた方、新しくエントリーされる方、2022年5月23日、私たちは皆様をお待ちしています!」