2019年7月11日(木) JETRO主催 日本産酒類商談会の開催(於:Etoile business Center)
2019Kura Masterの授賞式に関わるたくさんのイベントも終盤を迎えた最終日は、JETRO主催、Kura Master 協力における日本産酒類商談会が開催されました。
各蔵元様のブースそれぞれに通訳の方が同席するだけでなく、商談スペースも設けられ、フランス人との商談に万全の体制が整えられていました。
参加蔵元数は約40社にも上り、来場者はフランスのインポータを始め、ソムリエ、酒類販売店アドバイザー、レストランオーナー、コンサルタント、ジャーナリストなど各業界のプロが参加。
試飲をしながら蔵元の方々と日本酒について語り、楽しみながらも真剣に商談をしている光景は、フランスの地に日本酒を広める事を理念に活動している私達の胸を熱くさせました。
会場にはKura Master のブースも設置され、来場者からのコンクール審査基準への質問の他、来年の審査員として是非参加したいというソムリエ数名が名刺を置いていくなど、Kura Masterの認知度含め、日本酒への注目度の高さを再認識することができました。
商談会の中盤にあたって、JETROパリの片山所長から、まず流暢なフランス語でご挨拶があり、続いて、審査委員長グザビエ・チュイザが、「日本酒の可能性、スパークリング部門を設けた理由」などを、今年のコンクールを振り返りながら、日本酒の未来について、経験に基づいた真摯で率直なメッセージを送りました。これまでの商談会には例がない、パリのトップソムリエによる全員への言葉は、来場者だけでなく蔵元様にも高い評価を集めました。
この商談会は、日本酒が2019年のフランス商戦に食い込むための拍車となったと、参加者が確信する日も近いことでしょう。
2019年7月9日(火) Kura Master 2019 授賞式の開催 (於:フランス・パリ OECD大使公邸)
晴れの日にふさわしい好天に恵まれる中、パリOECD大使公邸にて、Kura Master2019の授賞式を開催しました。授賞式にはOECD日本政府代表部 大江博大使にもご列席頂き、フランス語でのご挨拶と蔵元様へのあたたかいご祝辞を頂きました。

パリOECD日本政府代表部 大江博大使

授賞式の会場の様子
各カテゴリーから選出された合計14の蔵元様には、表彰状と合わせ、記念品として受賞酒の名前が刻印されたRIEDEL社の純米グラスを贈呈致しました。
受賞酒と記念品のRIEDEL純米グラス
そしてトップ14の受賞酒より、今年の最高賞となるプレジデント賞と、各カテゴリーから選ばれるKura Master審査員賞の発表。緊張感と喜びが溢れる時間となりました。
(審査結果はこちら。 https://kuramaster.com/ja/concours/comite-2019/laureats/ )

結果を発表するKura Master審査委員長のXavier Thuizat。

審査員の一人、シャンパーニュ地方を代表するソムリエPhilippe JAMESSE。サケ スパークリング部門の審査員賞のプレゼンテーターを務めていただきました。
最高賞のプレジデント賞は仙台伊澤家勝山酒造の「勝山 純米大吟醸 伝」に決定。
表彰式後は部屋を移動し、トップ14の受賞酒と、awa酒協会の皆様によりご提供いただいたawa酒の試飲会を行いました。審査結果の発表も終わり緊張が解きほぐれ、会場はとても和やかな雰囲気に包まれていました。


試飲会会場で受賞酒やawa酒とシャルキュトリーを楽しむ参加者の様子
また、大使公邸の青々とした芝と薔薇の花が見事なテラスには、山田錦のブースをセッティング。日本より兵庫県副知事にもお越しいただき、授賞式に参加された関係者やメディアの皆様に山田錦産の兵庫のお酒も楽しんでいただくことができました。


山田錦ブースの様子
今年のコンクールには720銘柄という大変多くの出品があり、日本、フランス共に年々Kura Masterへの関心が高まっていることが感じられます。この日を迎えることが出来たこと、また、多くの方の多大なるご協力に感謝いたします。
受賞された蔵元の皆様、本当におめでとうございます。
大江大使と受賞蔵の皆様と共に。
第1章:旅の目的について
第2章:蔵元訪問について
第3章:審査員たちによるセミナー実施について
第4章:「第3回Kura Master日本酒コンクール」募集要項の記者発表と一般試飲会について
最終章
Appendix
序章
2019年1月14日から21日の間、Kura Master審査員のフランス人ソムリエら6名が訪日。酒造り最盛期の蔵元に訪問し、日本酒醸造の現場で酒造りを学び、各地の日本酒関係者と交流を深めるための8日間に渡る長く濃厚なツアーを行いました。この8日間で一都四県を縦断し、8軒の蔵元を訪問、多数のイベントやセミナーへ参加。蔵元はもちろんのこと、日本酒やワインの関係者、各県や団体関係者、そして多くの一般の方々との交流を通じ、日本酒と日本文化について学び、またソムリエとしてのKura Master審査員の知識や日本酒への想いを伝えることで、日仏交流に大きく貢献する旅となりました。
- 研修旅行の目的
- 研修旅行参加審査員・ジャーナリスト
- 研修旅行スケジュール
- 1/16(火) 合資会社基山商店様
- 1/16(火) アリタポーセリンラボ様
- 1/16(火) 佐賀県主催で料亭にて懐石料理を味わう
- 1/17(水) 天山酒造様
- 1/18(木) 花の香酒造様
- 1/19(金) 記者発表 於青山リーデル
- 1/19(金) Kura Master プレミアム受賞酒を味わう会
- 研修旅行 総括
- スポンサー
研修旅行の目的
第2回 Kura Master を開催するにあたって、審査員に対してさらに精度の高い、公平な審査を求めています。
そのために、日本酒を生み出した地域、酒文化、製造方法、蔵元様の哲学と技術を現地で学んでいただくことは、重要な研修課題と認識しています。
一方で、フランス人のトップ・ソムリエが、蔵元さんを訪問し、地方のお酒と食文化を堪能、満足している模様をメディアやソーシャルネットワークを通じて露出し、地元の観光PRに貢献していきたいと考えております。
酒文化の啓蒙と酒蔵ツーリズムのPRは、酒蔵ツーリズム振興協議会に属する Kura Master コンクールの活動目的の一つでもあります。
研修旅行参加審査員・ジャーナリスト
Mr. Pierre Many | Kura Master 審査副委員長、ソムリエ指導者 |
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Ms. Paz Levinson | ソムリエ世界コンクール第4位保持者、1つ星レストラン Virtus (ヴィルトゥス)シェフソムリエ |
Mr. Matthias Maynard | シャングリラホテル シェフソムリエ |
Ms. Julia Scavo | ヨーロッパ最優秀ソムリエコンクール第3位保持者 |
Mr. Lionel Scheneider | リッツホテル ソムリエ |
Miss. Marion Flipo | 2017年度女性スタートアップ起業家受賞デジタルジャーナリスト |
2017年10月8日(日)フランスパリで開催された欧州最大の日本酒イベント「サロン・デュ・サケ」会場において、フランス初の日本酒コンクール「Kura Master」の頂点であるプレジデント賞と審査員特別賞の発表と授賞式を行いました。コンクール初開催の本年度は、総出品数221蔵、総出品数550点(純米大吟醸部門266点、純米部門284点)が出品され、各部門の上位5点とプレジデント賞、審査員特別賞の受賞者に審査委員長グザビエ・チュイザより表彰状が授与されました。
※Kura Masterブースにて
審査委員会 委員長グザビエ・チュイザ
白ワインに代わる唯一のアルコールが日本酒だと感じています。
– 日本酒がフランスで広まっていくためには何が必要でしょうか?
レストランやホテルのソムリエたちがアンバサダーとなり、お客様へ日本酒を伝えていく必要があります。そのためには私たちソムリエが日本酒について学び、造詣を深めていくことが一番大切だと思っています。
– フランスでの日本酒の可能性についてどう思われますか?
様々なお酒がある中で、白ワインに代わる唯一のアルコールが日本酒だと感じています。そのアロマや、ミネラル感には、全く相通じる部分があるからです。日本酒はとてもピュアでエレガントなお酒ですので、フランスでの広がりには大きな可能性を感じています。
– フランス人にはどのような日本酒が好まれるでしょうか?
フランス人には香りの高い日本酒が好まれる傾向にありますが、今回受賞しているお酒は必ずしもそういったお酒とは限りません。なぜなら、それぞれの日本酒が持つアロマ、余韻、力強さなどと、料理との相性を一番重要と考えているからです。ブラインドテイスティングをした時に、白ワインと日本酒を間違えるフランス人はたくさんいると思います。
プレジデント賞 七田 純米吟醸 雄町5
– 天山酒造株式会社(佐賀県)代表取締役社長 七田謙介
日本人には表現しきれない豊かな感性で日本酒を語ってくれました。
– ベスト10に3本入賞とプレジデント賞を獲得しました。受賞の感想と会場の印象をお聞かせください。
「Kura Master」への参加をきっかけに、初めて「サロン・デュ・サケ」に出展しましたが、来場者の日本酒への知識がとても高く感じました。お酒に合わせる具体的な料理まで提案してくださる方がいらしたほどです。また、印象的だったことは、フランス人の方の表現についてです。口に入ってきた時の触感、テクスチャーについて話す人が多くいらっしゃいました。日本人には表現しきれない豊かな感性で日本酒を語ってくれたことがとても印象に残っています。これまでも、アメリカ、アジアを中心に輸出をしてきましたが、今回の「Kura Master」の受賞を機に、フランスをはじめとしたヨーロッパ各地へも自信を持って、食や季節に合わせた日本酒の素晴らしさと日本文化を伝えて行きたいと思います。
審査員特別賞 花の香 桜花
– 花の香酒造株式会社(熊本県) 代表取締役社長 神田清隆
欧州における日本酒のこれからの可能性を強く感じました。
-「Kura Master」、「サロン・デュ・サケ」の感想をお聞かせください。
日本人以外のフランス人や欧州各国で活躍される方々、飲食の商いをされていらっしゃる方々と、数多くの人々が集まる「サロン・デュ・サケ」はフランスのみならず欧州のサケ展示会だと感じましたし、欧州における日本酒のこれからの可能性を強く感じました。食の都Paris、その地でフランス人によるフランス人の為の日本酒コンクールという事でも沢山のシェフソムリエの方々にテイスティング頂き選ばれた事は本当に名誉です。
– フランス人に試飲してもらって反応はどうだったか?
フランスの方々からの感想『フローラル』という意見、野菜とのマリアージュが良いなど沢山同じ意見を頂けた事が花の香りと華やかさをイメージしながら創った我々として一番嬉しかったです。
プラチナ賞 水芭蕉 純米大吟醸 翠
– 永井酒造株式会社(群馬県) 代表取締役 永井則吉
フランスにこそ日本酒の潜在市場があると確信しています。
フランスで求められる日本酒の特徴は、「バランス」、「きめ細やかさ」、「エレガント」がキーワードだと感じています。NAGAI STYLEとして、食事に合わせた4タイプのお酒の提案を2014年に完成させ、米の味をワインマーケットに参入させるための取り組みをしてまいりました。ワインと食の都であり、観光立国であるフランスにおいて、ワインの専門家に認められたことを大変嬉しく思っております。フランスにこそ、日本酒の潜在市場があると確信しています。
プラチナ賞 純米大吟醸 紀伊国屋文左衛門
– 中野BC株式会社(和歌山県) 代表取締役社長 中野幸治
ヨーロッパには受け入れてもらいやすいという自信につながりました。
-「サロン・ドゥ・サケ」、「Kura Master」の感想をお聞かせください。
「サロン・ドゥ・サケ」の参加者は、在仏の日本人の方も多かったですが、特にフランス人の方々が日本酒にとても興味を持ってくれている事に非常に驚きました。また、フランスにも日本酒の醸造元があり、今や世界中で日本酒を造る動きというのは、日本人には入り込めなかった壁を越えていけるという意味で期待が出来ると思います。また、プラチナ賞を頂いた純米大吟醸「紀伊国屋文左衛門」は、-5度で3年間熟成させて、旨みと余韻を楽しんで頂ける酒として今年の2月に発売しましたが、日本人とは違った印象を受けました。それはワイン文化であるフランス独特の「熟成への敏感な味覚」と「旨みへの感受性」。
今回の受賞酒の大半が西日本エリアであった事も含めると、米の旨みを表現する弊社の酒質はヨーロッパには受け入れてもらいやすいという自信につながりました。弊社も海外展開に力を入れているところですが、ヨーロッパにはこれを機会として積極的に展開をしていきたいと感じました。
プラチナ賞 文佳人 純米酒
– 株式会社アリサワ(高知県) 専務取締役 有澤 綾
豊かな表現で具体的な感想を伝えてくれることが印象的でした。
– 来場者の印象をお聞かせください
フランス人の方は、豊かな表現で具体的な感想を伝えてくれることが印象的でした。例えば、フルーツのような香り、ではなく具体的に何のフルーツか、というところまで伝えてくれます。また白ワインのようだという意見もとても多かったです。ワインのタンニンに喉が慣らされているので、濃厚な日本酒が良いという声もあり、新しい視点での可能性を感じました。私たちが作る日本酒は時に、強すぎる、濃すぎるという意見も日本では聞かれる中で、フランス人から評価された点で大変自信につながりました。来年のコンクールはより一層厳しい戦いになると思いますが、変わらずに誇りを持って酒造りをしていきたいと思います。
プラチナ賞 西の関 手造り純米酒
– 萱島酒造有限会社(大分県) 正池有希子 海外マーケティングマネージャー
フランス料理との相性も認められ選ばれたと思います。
– 受賞の感想をお聞かせください
比較的香りが高いタイプの日本酒が受賞している中、そうではないタイプの西の関が選ばれたことに、まずとても驚いていますが、選ばれた理由として、どっしりとした味が評価された点ではないかと考えています。このお酒は、どちらかと言えば初心者向きではなく、色々なお酒を飲み続けた人が帰ってくる場所、つまり上級者向けとも言われています。食事に合わせながら、ちびちびと長いこと楽しみ続けられるお酒作りを目指している私たちにとって、日本、九州の料理だけでなく、フランス料理との相性も認められ、選ばれたことをとても嬉しく思います。
プラチナ賞 富久長 純米吟醸 八反草純米大吟醸
– 株式会社今田酒造本店(広島県)代表取締役杜氏 今田美穂
「吟醸を世界の言葉に!」
-「Kura Master」に出品しての感想をお聞かせください
第1回「Kura Master」で、まったく思いがけずプラチナ賞トップ10に選出いただき、本当に嬉しく感じています。受賞した「富久長 純米吟醸 八反草」は、弊社が20年ほど復活栽培に取り組んでいる、広島県最古の酒米「八反草」を使用しています。「八反草」は野性味が強く、個性ある味わいが日本国内の鑑評会には不向きであるとかもしれない、と感じていました。それだけにフランスで評価いただいたことに、今までの年月が報われる思いです。また、「Kura Master」サイトでのグザビエ・チュイザ氏のご挨拶には、大変感銘を受けておりました。パリでそのお人柄に触れることができ、故郷の広島杜氏の先輩方が吟醸造りにかけられてきた情熱が、国境を越えて伝わっていることを確信して感動を覚えました。この機会を実現してくださった宮川圭一郎運営委員会代表、SALON DE SAKE主催のシルバン・ユエ氏、運営に携わって下さった皆様に深く感謝申し上げます。ありがとうございました。
最後に「吟醸を世界の言葉に!」。
プラチナ賞 基峰鶴 純米吟醸山田錦
– 合資会社基山商店(佐賀県) 部長 小森綾子
このコンクールは、これから日本酒がフランスへ広がる為にとても重要なものとなると思います。
-「Kura Master」に出品しての感想をお聞かせください。
FacebookやTVなどで取り上げられて素晴らしい反響を拝見しております、パリへ行けなかったとこをとても残念に思っております。「サロン・デュ・サケ」、「Kura Master」はフランス人による、フランス人の為のサロン・コンクールであり、とても素晴らしい企画だと思います。このコンクールは、これから日本酒がフランスへ広がる為にとても重要なものとなると思います。
– フランス人に試飲してもらった感想をお聞かせください
まだまだ、日本酒を飲んだ事がない方が多く、濃厚でアルコールの高いものだと思われがちな印象でしたが、皆さん美味しいと飲んでくださいました。
味わいも深く、蔵ごとの個性もありとても楽しまれて頂けたと思います。
日本酒はワインと同じ醸造酒ということもあり、受け入れやすいものなのかも知れないと思いました。フランスで、日本酒は知る人ぞ知る状態なのでこれからの可能性は大きいと思います。お酒だけでも楽しめ、何より食中酒として万能な日本酒をフランスの方にも知って頂けたらと思います。
Kura Master 運営委員会
代表 宮川圭一郎
白ワインに代わる唯一のアルコールが日本酒だと感じています。
– 第一回「Kura Master」を終えての感想をお聞かせください。
このコンクールが壮大な事業であることをまずは知りました。初年度はすべての準備が0からスタート。多くの人のご協力に加え、多大なる時間を要しました。公平性や透明性、そして、何よりもこの情熱を人に正しく伝えるということへの深遠なる意義を知ることになりました。とはいえ、このコンクールにより多くのフランスのプロの方々が日本酒をワインのように審査し、コメントを記載し、料理との相性を理解するようになる一助になったと、ここに確信を致しました。これから日本酒に対して一層深く理解をしていただけることでしょう。
– 来年にかける意気込みをお聞かせください。
Association de Kura Masterとは、日本酒のコンクールを通して、日本酒の消費拡大を目的に酒文化の知名度向上、酒蔵ツーリズムの発展、及び、ワインのプロに、日本酒の教育啓蒙活動、料理との相性研究(=Aventure)等を推進していく協会です。歴史・文化・観光など世界に大きな影響力を持っているこのフランスの地から、フランスに住んでいる多くの皆様と、日本酒を通して、積極的に日本を広くこの地にアピールしていくことにあります。
この活動により、次世代の育成と強化を図りながら、国際的なネットワーク構築も行い、世界と日本の未来に貢献して行くことを強く望んでおります。来年は、より一層フランスにおける日本酒の認知を広げて参ります。これからのKura Masterの活動にどうかご期待ください。
インタビュー:広報担当:浅岡