Kura Master 日本酒審査会 2026

審査会

第10回という節目を迎えたKura Maste 日本酒コンクールが、2026年4月27日(月)、パリ市内の「パヴィヨン・ルドワイヤン」にて開催されました。記念すべき10周年審査会となる今回は、これまでの歩みを象徴するにふさわしい、特別な会場での開催となりました。

Pavillon Ledoyen Facade@SimonDetraz
会場となった「パヴィヨン・ルドワイヤン」は、シャンゼリゼ庭園内に位置する1779年創業の歴史的建造物です。現在は、世界最多級のミシュランの星を持つヤニック・アレノ氏が経営する独立系メゾンです。アレノ氏は2007年にパリの「ル・ムーリス」のシェフに就任し、同店は2008年版ミシュランで三つ星を獲得しました。その後も高い評価を維持し、2014年からはパヴィヨン・ルドワイヤン内の「アレノ・パリ(Alléno Paris)」にて新たな三つ星レストランを手がけ、現在に至るまでその評価を保持しています。さらに現在は、自身のグループ全体で約18のミシュランスターを擁する、フランスを代表するシェフの一人です。

歴史と格式、そして現代フランス最高峰のガストロノミーが融合するこの特別な舞台で開催された第10回審査会は、Kura Masterのこれまでの歩みを象徴するとともに、日本酒をはじめ、本格焼酎・泡盛、リキュール、日本ワインなど、合計1252銘柄の審査が行われ、日本のお酒が持つ多彩な魅力と可能性を世界へ向けてあらためて発信する、記念すべき一日となりました。

Kura Master 2026
Kura Master 2026
Kura Master 2026
審査には、審査委員長を務めるグザビエ・チュイザ (Xavier Thuizat)氏(2022年最優秀ソムリエ賞受賞/MOFソムリエ)を筆頭に、MOFソムリエ、さらにリッツ・パリやシュバル・ブラン・パリ、マンダリンホテルといった5つ星ホテルや、ミシュラン3つ星の名店・アンヌ・ソフィー・ピックなどで活躍する一流ソムリエやレストランオーナーら、約125名が集結。日本酒9部門での審査に臨みました。

Kura Master 2026
審査は1テーブル6〜8本のお酒を6セッション(1セッション 30〜40分)で行われました。決戦に通過した55点の日本酒の中から優秀賞30銘酒、各カテゴリーの最優秀賞である審査員賞9銘酒が選ばれました。さらに審査員長であるグザビエ・チュイザによって選ばれるプレジデント賞が審査員賞の中から1銘酒決定されました。

Kura Master 2026
Kura Master 2026
ペアリングを重視するフランス人の食文化を意識した、アリアンス ガストロノミー賞。
本年度は「サケ スパークリング部門」を対象に、ヤニック・アレノ氏監修の料理とのペアリングをテーマとした特別コンテストとして実施されました。特別メニューと、決勝進出した5本の日本酒。そのマリアージュ(相性)を審査基準として、審査員長から指名された審査員が評価を行い、その中で特に相性が優れていると判断された1本のスパークリング日本酒が、受賞酒として選出されました。

日本酒コンクール審査員長であるグザビエ・チュイザ氏は今回の審査会について以下のようにコメントしています。

「記念すべき10周年審査会となった今回は、精米歩合別のカテゴリー分けや熟成酒カテゴリーの新設など、より精緻な評価体系が導入され、日本酒の多様性と個性がこれまで以上に明確に評価される審査会となりました。

審査では、著名な蔵元や象徴的な銘柄に加え、多くの新たな発見もありました。特に大吟醸・吟醸カテゴリーでは、その繊細さや純粋さ、エレガンスが高く評価され、本醸造においても高い完成度が注目を集めました。また、スパークリングや熟成酒についても、濃厚型・淡麗型、長期熟成・短期熟成といったスタイルごとの特徴が的確に評価され、ガストロノミーとの高い親和性を持つ酒が数多く選出されました。

今回の審査は、ソムリエ、バーマン、カーヴィストなど、フランスの食文化を代表する専門家たちによる多角的な視点のもと行われ、日本酒の奥深さと国際的な可能性を改めて示す結果となりました。10周年という節目にふさわしく、日本酒のさらなる発展と新たな魅力の発見を印象づける審査会となりました。」

マスタークラス

審査会後には、マスタークラスが開催されました。鈴木秀生 在フランス日本国特命全権大使による開会のご挨拶とともに、パリの美食文化と日本酒が響き合う華やかなひとときが幕を開けました。

鈴木秀生 在フランス日本国特命全権大使

「まず初めに、グザビエ・チュイザKura Master日本酒審査員長、宮川圭一郎運営委員長、審査委員長・審査員の皆様、ご来場の皆様、10周年を迎えたKura Masterコンクールに心からの祝辞を申し上げます。このコンクールは、ここにおられる全ての皆様の情熱と創造性により、発展してきました。皆様のご尽力に心から敬意を表します。

なぜ我々は、ワインや日本酒、本格焼酎・泡盛、リキュール(梅酒・柑橘酒)等にこれほど情熱を注ぐのか。フランスでも日本でも同様に、その背景には、伝統を引き継ぎ、テロワールや水といった地元の特産を生かしながら紡いできた文化があります。その文化が、人間と自然との「マリアージュ」を生み出し、日本酒やワインを非凡にする本質となり、国の誇りとなっています。

そして、フランスと日本、二つの伝統的な文化のマリアージュもまた、更なる可能性を秘めています。フランスと日本の料理・酒のマリアージュは、我々がまだ気づいていなかった新たな魅力の発見、そして、深化に繋がります。今年、特別審査員としてお迎えしたシェフのヤニック・アレノ氏によるマリアージュのご提案は、その可能性を実感できる、素晴らしい機会です。

日本政府は、日本産酒類に携わる全ての皆様の努力の結晶が、フランス・ヨーロッパ・世界に広く認知され、日本産酒類が更に普及していくよう、引き続き輸出拡大に尽力していく所存です。Kura Masterコンクールにおける、第一線で活躍する審査員の方々による評価はまさに、世界中に日本産酒類を広める強力な後押しとなります。

本日は誠にありがとうございました。」

Kura Master 2026
その後、ヤニック・アレノ氏が登壇し、日本での経験や日本料理への敬意、日本酒とフランス料理の未来について語りました。アレノ氏は、日本を訪れた際の思い出や酒蔵との交流を振り返りながら、日本酒が持つ繊細な旨味やテロワールの表現力に触れ、フランス料理との高い親和性を紹介。さらに、白ワインに代わる存在として日本酒を料理やソースに取り入れる可能性についても言及し、日本酒がフランスのガストロノミーに新たな創造性をもたらす存在であると語りました。

Kura Master 2026
会場では3種の山田錦をテーマにした日本酒と料理のマリアージュも披露されました。蟹のタルトレットとトマトウォーターのエスプーマ仕立ての一皿に「HYAKU MOKU Alt.3」、ギルヴィネック産小魚のポシェ ソース・ヴェール・プレに「The Gate」、そして巻き貝のココット仕立て フォアグラ風味のモダンマヨネーズとカレーの香りを添えた一皿にフランスで醸造されている「Le Vent」を合わせるなど、日本酒とフランス料理が織りなす繊細なペアリングが来場者を魅了しました。

Kura Master 2026
Kura Master 2026
また、兵庫県が誇る酒米「山田錦」をテーマにした特別セミナーも開催されました。山田錦は今年で90周年、Kura Masterは10周年となり、かけて100年になります。セミナーでは、兵庫県立農林水産技術総合センター淡路農業技術センター 所長 杉本琢真氏や、特A地区・加東市で山田錦を栽培する平川 嘉一郎氏が登壇し、山田錦の系統管理や気候変動への対応、生産者と酒蔵を結ぶ取り組みなどについて紹介。世界最高峰の酒米と称される山田錦の品質を支える、兵庫県ならではの風土と技術への理解を深める内容となりました。

加納雄大 ユネスコ日本政府代表部 特命全権大使
マスタークラスの締めくくりには、加納雄大 ユネスコ日本政府代表部 特命全権大使より閉会のご挨拶が述べられました。

「Kura Masterマスタークラス審査会に参加させて頂くのも、今回で3回目となります。今回は、フランス美食界を代表する偉大なシェフ、ヤニック・アレノ氏ともに、素晴らしい会場で参加することができ、大変光栄に存じます。2023年の末にパリに着任以来、審査員長のグザヴィエ・チュイザ氏をはじめとするKura Masterの方々と様々な機会にご一緒させて頂く中で、私自身、日本酒の奥深さについて多くを学ばせて頂きました。私の先輩の元ユネスコ日本大使で、Kura Master名誉会長でもある門司健次郎大使が、その著書で日本酒とフランスの食文化との融合の可能性を記されていますが、本日のフランスの美食と山田錦のマリアージュは、まさにそれを再認識させるものでした。皆様ご存知の通り、2024年末には、日本が誇る伝統的な酒造りがユネスコ無形文化遺産に登録されました。先人たちが培ってきた技と知恵、そして自然への畏敬の念が結晶となった、かけがえのない文化遺産が国際的に認められた証といえます。私たち日本人にとって大きな喜びであると共に、次世代へと継承していくべき重責を感じております。日本に「神の雫」という、フランスワインをテーマにした人気漫画がありますが、日本酒はまさに私たち日本人にとっての「神の雫」であり、皆様と共に楽しみつつ、その魅力を世界に向けて紹介していく所存です。本日の素晴らしい機会を提供してくださったKura Master運営委員会の皆様に、改めて心より感謝申し上げます。Kura Masterが、日本とフランス、ひいては世界各国の文化交流の架け橋として、今後も重要な役割を担われることを期待しております。本日ご参加の皆様、そしてこの素晴らしいイベントを支えてくださったすべての関係者の皆様に、心からの感謝と敬意を表し、私の閉会の挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。」

Kura Master 2026
審査会翌日には、一般来場者向けの試飲会がパリ国際大学都市日本館にて開催されました。会場には約200名の来場者や関係者が集まり、日本酒への高い関心とともに終始活気に包まれました。多くの交流と発見に彩られた試飲会をもって、第10回Kura Masterは盛況のうちに幕を閉じました。

2026年度 受賞酒発表

2026年度 審査員