審査会
第6回となるKura Master本格焼酎・泡盛コンクールが、2026年4月27日(月)パリ市内の「パヴィヨン・ルドワイヤン」にて開催されました。


審査には、本格焼酎・泡盛コンクールの審査委員長を務めるクリストフ・ダヴォワンヌ(Christophe DAVOINE)氏をはじめとするMOF(国家最優秀職人章)、フランスを代表するバーテンダーやガーヴィスト、5つ星ホテルやミシュラン3つ星の名店・アンヌ・ソフィー・ピックなどで活躍する一流ソムリエら、総勢125名が集結。8部門での開催となりました。

審査は1テーブル5〜7銘柄を19テーブル(1セッション 40分)で行われました。決戦に通過した30点の中から優秀賞16点、そして各カテゴリーの最優秀賞である審査員賞8点が選ばれました。さらに審査員長であるクリストフ・ダヴォワンヌによって選ばれるプレジデント賞として審査員賞の中から1銘柄が選出されました。



本格焼酎・泡盛コンクールの審査委員長のクリストフ・ダヴォワンヌ氏は今回の審査会について以下のようにコメントしています。
「Kura Masterの10周年を皆さまと共に祝うことができ、大変嬉しく思います。この10年、そして今年もまた多くの驚きがありました。すべての生産者の皆さま、Kura Masterへの信頼と変わらぬご支援に心より感謝申し上げます。皆さまのおかげで、私たちは毎年本当に素晴らしい銘酒を試飲することができています。現在、審査員たちは泡盛と本格焼酎の世界にますます情熱と関心を寄せており、私自身もこのコンクールを通じて新たな受賞者を発見することに大きな喜びを感じています。毎年素晴らしい成果を上げている蒸留所の数々、そして何度も参加してくださる造り手の皆さま、本当にありがとうございました。次は9月30日の授賞式でお会いしましょう。その際、今年私が特に魅了された泡盛または焼酎に対し、私からプレジデント賞を発表いたします。皆さまにお会いできることを楽しみにしています。そして2027年2月には、日本文化を学び、泡盛と焼酎という素晴らしい世界への理解をさらに深めるため、再び日本を訪れる予定です。ありがとうございました。またすぐにお会いしましょう。」
マスタークラス
審査会後には、マスタークラスが開催されました。鈴木秀生 在フランス日本国特命全権大使による開会のご挨拶とともに、パリの美食文化と日本酒が響き合う華やかなひとときが幕を開けました。

「まず初めに、グザビエ・チュイザKura Master日本酒審査員長、宮川圭一郎運営委員長、審査委員長・審査員の皆様、ご来場の皆様、10周年を迎えたKura Masterコンクールに心からの祝辞を申し上げます。このコンクールは、ここにおられる全ての皆様の情熱と創造性により、発展してきました。皆様のご尽力に心から敬意を表します。
なぜ我々は、ワインや日本酒、本格焼酎・泡盛、リキュール(梅酒・柑橘酒)等にこれほど情熱を注ぐのか。フランスでも日本でも同様に、その背景には、伝統を引き継ぎ、テロワールや水といった地元の特産を生かしながら紡いできた文化があります。その文化が、人間と自然との「マリアージュ」を生み出し、日本酒やワインを非凡にする本質となり、国の誇りとなっています。
そして、フランスと日本、二つの伝統的な文化のマリアージュもまた、更なる可能性を秘めています。フランスと日本の料理・酒のマリアージュは、我々がまだ気づいていなかった新たな魅力の発見、そして、深化に繋がります。今年、特別審査員としてお迎えしたシェフのヤニック・アレノ氏によるマリアージュのご提案は、その可能性を実感できる、素晴らしい機会です。
日本政府は、日本産酒類に携わる全ての皆様の努力の結晶が、フランス・ヨーロッパ・世界に広く認知され、日本産酒類が更に普及していくよう、引き続き輸出拡大に尽力していく所存です。Kura Masterコンクールにおける、第一線で活躍する審査員の方々による評価はまさに、世界中に日本産酒類を広める強力な後押しとなります。
本日は誠にありがとうございました。」

その後、ヤニック・アレノ氏が登壇し、日本での経験や日本料理への敬意、日本酒とフランス料理の未来について語りました。アレノ氏は、日本を訪れた際の思い出や酒蔵との交流を振り返りながら、日本酒が持つ繊細な旨味やテロワールの表現力に触れ、フランス料理との高い親和性を紹介。さらに、白ワインに代わる存在として日本酒を料理やソースに取り入れる可能性についても言及し、日本酒がフランスのガストロノミーに新たな創造性をもたらす存在であると語りました。

会場では3種の山田錦をテーマにした日本酒と料理のマリアージュも披露されました。蟹のタルトレットとトマトウォーターのエスプーマ仕立ての一皿に「HYAKU MOKU Alt.3」、ギルヴィネック産小魚のポシェ ソース・ヴェール・プレに「The Gate」、そして巻き貝のココット仕立て フォアグラ風味のモダンマヨネーズとカレーの香りを添えた一皿にフランスで醸造されている「Le Vent」を合わせるなど、日本酒とフランス料理が織りなす繊細なペアリングが来場者を魅了しました。


また、兵庫県が誇る酒米「山田錦」をテーマにした特別セミナーも開催されました。山田錦は今年で90周年、Kura Masterは10周年となり、かけて100年になります。セミナーでは、兵庫県立農林水産技術総合センター淡路農業技術センター 所長 杉本琢真氏や、特A地区・加東市で山田錦を栽培する平川 嘉一郎氏が登壇し、山田錦の系統管理や気候変動への対応、生産者と酒蔵を結ぶ取り組みなどについて紹介。世界最高峰の酒米と称される山田錦の品質を支える、兵庫県ならではの風土と技術への理解を深める内容となりました。

マスタークラスの締めくくりには、加納雄大 ユネスコ日本政府代表部 特命全権大使より閉会のご挨拶が述べられました。
「Kura Masterマスタークラス審査会に参加させて頂くのも、今回で3回目となります。今回は、フランス美食界を代表する偉大なシェフ、ヤニック・アレノ氏ともに、素晴らしい会場で参加することができ、大変光栄に存じます。2023年の末にパリに着任以来、審査員長のグザヴィエ・チュイザ氏をはじめとするKura Masterの方々と様々な機会にご一緒させて頂く中で、私自身、日本酒の奥深さについて多くを学ばせて頂きました。私の先輩の元ユネスコ日本大使で、Kura Master名誉会長でもある門司健次郎大使が、その著書で日本酒とフランスの食文化との融合の可能性を記されていますが、本日のフランスの美食と山田錦のマリアージュは、まさにそれを再認識させるものでした。皆様ご存知の通り、2024年末には、日本が誇る伝統的な酒造りがユネスコ無形文化遺産に登録されました。先人たちが培ってきた技と知恵、そして自然への畏敬の念が結晶となった、かけがえのない文化遺産が国際的に認められた証といえます。私たち日本人にとって大きな喜びであると共に、次世代へと継承していくべき重責を感じております。日本に「神の雫」という、フランスワインをテーマにした人気漫画がありますが、日本酒はまさに私たち日本人にとっての「神の雫」であり、皆様と共に楽しみつつ、その魅力を世界に向けて紹介していく所存です。本日の素晴らしい機会を提供してくださったKura Master運営委員会の皆様に、改めて心より感謝申し上げます。Kura Masterが、日本とフランス、ひいては世界各国の文化交流の架け橋として、今後も重要な役割を担われることを期待しております。本日ご参加の皆様、そしてこの素晴らしいイベントを支えてくださったすべての関係者の皆様に、心からの感謝と敬意を表し、私の閉会の挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。」

審査会翌日には、一般来場者向けの試飲会がパリ国際大学都市日本館にて開催されました。会場には約200名の来場者や関係者が集まり、日本酒への高い関心とともに終始活気に包まれました。多くの交流と発見に彩られた試飲会をもって、第10回Kura Masterは盛況のうちに幕を閉じました。



