審査会
第8回Kura Master日本酒コンクールが、2024年5月27日(月)パリ市内(会場:エスパス・シャラントン)にて開催されました。
審査員には、審査委員長であり、ローズウッドグループ ヨーロッパのエグゼクティブ シェフ・ソムリエ、2022年最優秀ソムリエ賞とMOFソムリエ(国家最優秀職人章)に輝いたXavier Thuizat氏をはじめ、複数のMOFソムリエや、リッツ・パリ、シュバル・ブラン・パリ、マンダリンホテル等の5星ホテルやミシュラン3星フランス料理店グループ、アンヌ・ソフィー・ピックなどで勤務するトップソムリエ、レストランオーナーら、総勢123名が参加し、日本酒6部門1223点の審査に挑みました。
審査は1テーブル8本のお酒を6セッション(1セッション 約40分)で行われました。最終審査に通過した40点の日本酒の中からTop22、そして審査員賞6点が選ばれました。
そして、ペアリングを重視するフランス人の食文化を意識した、アリアンスガストロノミー部門。
今年は日本酒コンクールのクラシック酛部門にて、二次審査に残り決勝進出したクラシック酛5本と、プラトー・シャルキュトリ(※1)とのマリアージュコンクールを特別開催いたしました。MOF(※2)のRomain Leboeuf氏が準備したプラトー・シャルキュトリとクラシック酛5本を審査員4名がペアリングし、その中で最も優れたクラシック酛にアリアンス ガストロノミー賞が授与されました。
[※2]:MOF(Meilleurs Ouvriers de Franceの略で、国家最優秀職人章。)はフランス文化の最も優れた継承者たるにふさわしい高度な技術を持つ職人に授与される賞。現在では、対象となる職種は料理、製菓、パン以外にも、宝飾品、工芸品、ガーデニングなど幅広く、フランス人の Art de Vivre(生活芸術)の精神にふさわしく、その数は約180職種に及ぶ。一番有名なのは「料理」であり、これまでにもポール・ボキューズ、ジョエル・ロブションら多数の有名料理人が名を連ねている。
午後の部のマスタークラスは下川眞樹太駐フランス日本国特命全権大使のお言葉から始まりました。
「皆様こんにちは。在フランス日本国大使の下川です。フランスの第一線で活躍するソムリエ、バーマン、レストラン関係者といったプロたち総勢200名が集まって一斉に、日本酒、本格焼酎・泡盛、梅酒を賞味・評価するこの大変意義深いKura Masterの審査会に参加することができ、非常に喜ばしく思っております。
今年のアリアンスガストロノミー賞はクラシック酛の日本酒とシャルキュトリのマリアージュですが、このように飲み物と料理の相性を重要視するのは、フランスの洗練された食文化の特色であり、Kura Masterの特徴でもあります。私も公邸での会食において、フレンチ、和食、ワイン、日本酒を組み合わせて日仏友好をできるだけ表現しようと日々取り組んでおります。
こうした組み合わせがうまくいくと、場の雰囲気がなごみ、相手との話が弾んで、一層実りあるものとなります。Kura Masterのマリアージュを追求する日々の取組は、日仏友好の要であると私は考えます。」
加納雄大ユネスコ日本代表部大使からも次のようにメッセージを頂戴しました。
「ユネスコでは、無形文化遺産の保護に向けた登録制度を定めた無形文化遺産保護条約に基づき、無形文化遺産を次世代に伝える事業を推進しています。本年12月にアスンシオン(パラグアイ)で開催される同条約政府間委員会では、日本が推薦する「伝統的酒造り」の登録審議が行われる予定です。これには、日本酒、焼酎、泡盛等日本の伝統的な酒造りの手法が広く含まれます。登録が実現すれば、2013年の「和食;日本人の伝統的な食文化」の無形文化遺産登録に次いで、あらためて日本の飲食文化を世界に発信する好機となります。私自身、ユネスコ関係者や加盟国大使を公邸にお招きする際は必ず日本酒で乾杯し、登録に向けて自らその魅力を広報しています。
登録自体もさることながら、この機に今まで日本のお酒にあまり馴染みのなかった人々に対して効果的なアピールを行うことが重要となります。その意味で、2024年・2025年は非常に大切な年になるため、関係者の皆様と連携させていただきたく存じます。日本の酒文化を紹介する取組は当地に限ったことではありませんが、世界に誇るワイン文化を有するフランスは、日本の酒文化が根付く土壌とそれを世界に広めるための発信力を兼ね備えた類い希なるテロワールであると言えます。」
今年のマスタークラスでは、3つのユニークなテーマ「伝統的な酒」「熟成酒」「黒糖焼酎」にて開催されました。
これらのセッションは、グループ・ピックのエグゼクティブ・シェフソムリエであるPaz LEVINSON氏、リッツ・パリのソムリエ・ディレクターであるFlorian GUILLOTEAU氏、そして2019年のM.O.F.バーマンであるDavid PALANQUE氏などの著名なスペシャリストによって進行されました。
第一セッションでは、ブーダンブラン(白いソーセージ)に「伝統的な酒」を合わせPaz LEVINSON氏が解説を行い、第二セッションでは、フォアグラに「熟成酒」を合わせFlorian GUILLOTEAU氏が解説を行いました。(第三セッションについては本格焼酎・泡盛、梅酒審査会開催ページをご覧ください。)
日本酒コンクール審査委員長Xavier Thuizat氏と副審査委員長Paz LEVINSON氏は今回の開催に際し、それぞれ以下のようにコメントをしています。
Xavier THUIZAT
「2024年も私たちにとって記録的な年となりました。期待以上の多くの審査員が参加し、エントリー数も過去最高となりました。素晴らしいエディションで、審査員の情熱や集中力、そしてプロフェッショナリズムを強く感じ、再び感銘を受けました。この第8回Kura Masterが皆の記憶に残るものとなり、この審査会の歴史に名を刻むことを願っています。」
Paz LEVINSON
「今年もKura Masterは、非常にエキサイティングな機会を提供してくれました。純米大吟醸や純米酒、クラシックな方法で作られた酒、焼酎をたくさん味わいました。毎年参加するメンバーにとっては欠かせないイベントで、初めて参加する審査員にとっては素晴らしいお酒との出会いの場であることは間違いありません。テーブルは小さく、各テーブルに4人ずつ配置され、議論は非常に活発かつ効率的に行われました。多くの日本酒、本格焼酎・泡盛、梅酒を迅速かつ正確に評価しました。今回も素晴らしいエディションとなり、来年以降も既に楽しみでなりません。」
結果
6部門(サケスパークリング部門、純米大吟醸酒部門、大吟醸部門、純米酒部門、クラシック酛部門、 古酒部門)に対し、370蔵より1223点が出品されました。各カテゴリーの獲得点数、またフランス政府の競争・消費者問題・詐欺防止総局(Direction générale de la concurrence, de la consommation et de la répression des fraudes)で定められている、提出された出品酒の総数の内、33%が受賞できるという規定に基づいて、プラチナ賞134点、金賞269点、合計403点の日本酒が入賞を果たしました。
「Kura Masterコンクール2024」の最高賞に当たる「プレジデント賞」の発表と今回、選ばれました審査員賞、アリアンスガストロノミー賞の授賞式は、10月2日(水)、パリの在フランス日本国大使公邸で開催いたします。