グザビエ・チュイザ
審査委員会 委員長

私が日本酒と出会ったのは、パリのホテルペニンシュラが生まれ変わり、その新しい酒蔵を創るためにソムリエとして招かれ、程なくしたころでした。

実は、それまでペニンシュラパリの広東料理のレストランで、ワインとお食事のマリアージュをお客様にご提案するときに、しっくりくるワインが見つからず、困り果てておりました。そこで、私はパリにいる日本酒の専門家と一緒に試飲をしてみよう思いつきました。そして一瞬にして恋に落ちてしまったのです。ワインがどうしてもたどり着けなかったもの、例えば、酸味、野菜の風味、苦味、マリネされたもの、スープ、ヨード香をしっかり持ったアワビ・・・。ワインが苦手とする味とのマリアージュを日本酒で試す度に、口の中で五感の繊細なバランスにぴったりと当てはまり、そのたびに驚きを隠せませんでした。

以来、日常的にお客様にこのマリアージュをお勧めしております。今日では、ペニンシュラパリの広東料理のレストランでは、年間約2500杯もの日本酒をご提供させていただくまでになりました。もちろんお客様だけに留まらず、私のパリのソムリエ仲間やソムリエを目指す学生に、また一般の方に、そして特に飲食業界のプロフェッショナルな方々に向けて、日本酒の素晴らしさを発見していただくために、時々日本酒の講演を行っております。また、関係者皆様のおかげで日本酒の多くの蔵元を訪ね、日本酒の理論や醸造について学んでまいりましたが、さらに知識を深めたいと思っております。日本酒の発酵について知れば知るほど、それは新たなる発見があり、目の前で複雑に広がっているからです。

日本酒について知れば知るほど、現在、その市場が縮小しており、この100年で8000あった蔵元が1200までに減少してしまっているという事実を目の当たりにしました。この状況を少しでも良くし、日本の蔵元や日本酒に関わる方を応援したいとの思いから、私はパリという地で、日本酒を広めようと努めております。

今回の初めての日本酒コンクールは、パリに日本酒の本当の面白さとダイナミックさを伝える又とない機会であり、この素晴らしいお酒をパリ、そしてフランスの皆様に広めていくのに重要なものになると確信しています。また、このコンクールを通して、更に多くのソムリエや食の専門家の皆様に向けて、日本酒とたくさんの食とのマリアージュの可能性をご紹介し発展させていけることを、広くお伝えできると信じております。

審査委員会 委員長
グザビエ・チュイザ

審査委員会 委員長 グザビエ・チュイザ

ブルゴーニュ地方ボーヌ出身。フランスソムリエ界の若き重鎮。ベルナール・ロワゾー、ムーリス、ピエール・ガルニエールといったミシュラン3つ星レストランでソムリエとして経験を積み、パレスホテル ペニンシュラの改築後のカーヴ創設を行い、ホテル内のレストランのシェフソムリエに。2017年夏に新装オープンの、フランスの国賓をも迎えるパレスホテルであるホテル クリヨンにシェフソムリエとして招致され、現在カーヴを創設中。日本酒との出会いは2014年と最近ではあるが、ワインがたどり着けない食材とのマリアージュを見出し,一瞬で恋に落ちた(本人談)。その後日本各地の蔵元を訪ね歩いて、研究。現在はフランス人への日本酒講演会もオーガナイズしている。