2017年 受賞者インタビュー

2017年10月8日(日)フランスパリで開催された欧州最大の日本酒イベント「サロン・デュ・サケ」会場において、フランス初の日本酒コンクール「Kura Master」の頂点であるプレジデント賞と審査員特別賞の発表と授賞式を行いました。コンクール初開催の本年度は、総出品数221蔵、総出品数550点(純米大吟醸部門266点、純米部門284点)が出品され、各部門の上位5点とプレジデント賞、審査員特別賞の受賞者に審査委員長グザビエ・チュイザより表彰状が授与されました。


※Kura Masterブースにて

審査委員会 委員長グザビエ・チュイザ 

白ワインに代わる唯一のアルコールが日本酒だと感じています。

– 日本酒がフランスで広まっていくためには何が必要でしょうか?

レストランやホテルのソムリエたちがアンバサダーとなり、お客様へ日本酒を伝えていく必要があります。そのためには私たちソムリエが日本酒について学び、造詣を深めていくことが一番大切だと思っています。

– フランスでの日本酒の可能性についてどう思われますか?

様々なお酒がある中で、白ワインに代わる唯一のアルコールが日本酒だと感じています。そのアロマや、ミネラル感には、全く相通じる部分があるからです。日本酒はとてもピュアでエレガントなお酒ですので、フランスでの広がりには大きな可能性を感じています。

– フランス人にはどのような日本酒が好まれるでしょうか?

フランス人には香りの高い日本酒が好まれる傾向にありますが、今回受賞しているお酒は必ずしもそういったお酒とは限りません。なぜなら、それぞれの日本酒が持つアロマ、余韻、力強さなどと、料理との相性を一番重要と考えているからです。ブラインドテイスティングをした時に、白ワインと日本酒を間違えるフランス人はたくさんいると思います。

プレジデント賞 七田 純米吟醸 雄町5


天山酒造株式会社(佐賀県)代表取締役社長 七田謙介

日本人には表現しきれない豊かな感性で日本酒を語ってくれました。

– ベスト10に3本入賞とプレジデント賞を獲得しました。受賞の感想と会場の印象をお聞かせください。

「Kura Master」への参加をきっかけに、初めて「サロン・デュ・サケ」に出展しましたが、来場者の日本酒への知識がとても高く感じました。お酒に合わせる具体的な料理まで提案してくださる方がいらしたほどです。また、印象的だったことは、フランス人の方の表現についてです。口に入ってきた時の触感、テクスチャーについて話す人が多くいらっしゃいました。日本人には表現しきれない豊かな感性で日本酒を語ってくれたことがとても印象に残っています。これまでも、アメリカ、アジアを中心に輸出をしてきましたが、今回の「Kura Master」の受賞を機に、フランスをはじめとしたヨーロッパ各地へも自信を持って、食や季節に合わせた日本酒の素晴らしさと日本文化を伝えて行きたいと思います。

審査員特別賞 花の香 桜花

花の香酒造株式会社(熊本県) 代表取締役社長 神田清隆

欧州における日本酒のこれからの可能性を強く感じました。

-「Kura Master」、「サロン・デュ・サケ」の感想をお聞かせください。

日本人以外のフランス人や欧州各国で活躍される方々、飲食の商いをされていらっしゃる方々と、数多くの人々が集まる「サロン・デュ・サケ」はフランスのみならず欧州のサケ展示会だと感じましたし、欧州における日本酒のこれからの可能性を強く感じました。食の都Paris、その地でフランス人によるフランス人の為の日本酒コンクールという事でも沢山のシェフソムリエの方々にテイスティング頂き選ばれた事は本当に名誉です。

– フランス人に試飲してもらって反応はどうだったか?

フランスの方々からの感想『フローラル』という意見、野菜とのマリアージュが良いなど沢山同じ意見を頂けた事が花の香りと華やかさをイメージしながら創った我々として一番嬉しかったです。

プラチナ賞 水芭蕉 純米大吟醸 翠

永井酒造株式会社(群馬県) 代表取締役 永井則吉

フランスにこそ日本酒の潜在市場があると確信しています。

フランスで求められる日本酒の特徴は、「バランス」、「きめ細やかさ」、「エレガント」がキーワードだと感じています。NAGAI STYLEとして、食事に合わせた4タイプのお酒の提案を2014年に完成させ、米の味をワインマーケットに参入させるための取り組みをしてまいりました。ワインと食の都であり、観光立国であるフランスにおいて、ワインの専門家に認められたことを大変嬉しく思っております。フランスにこそ、日本酒の潜在市場があると確信しています。

プラチナ賞 純米大吟醸 紀伊国屋文左衛門

中野BC株式会社(和歌山県) 代表取締役社長 中野幸治


ヨーロッパには受け入れてもらいやすいという自信につながりました。

-「サロン・ドゥ・サケ」、「Kura Master」の感想をお聞かせください。

「サロン・ドゥ・サケ」の参加者は、在仏の日本人の方も多かったですが、特にフランス人の方々が日本酒にとても興味を持ってくれている事に非常に驚きました。また、フランスにも日本酒の醸造元があり、今や世界中で日本酒を造る動きというのは、日本人には入り込めなかった壁を越えていけるという意味で期待が出来ると思います。また、プラチナ賞を頂いた純米大吟醸「紀伊国屋文左衛門」は、-5度で3年間熟成させて、旨みと余韻を楽しんで頂ける酒として今年の2月に発売しましたが、日本人とは違った印象を受けました。それはワイン文化であるフランス独特の「熟成への敏感な味覚」と「旨みへの感受性」。

今回の受賞酒の大半が西日本エリアであった事も含めると、米の旨みを表現する弊社の酒質はヨーロッパには受け入れてもらいやすいという自信につながりました。弊社も海外展開に力を入れているところですが、ヨーロッパにはこれを機会として積極的に展開をしていきたいと感じました。

プラチナ賞 文佳人 純米酒

株式会社アリサワ(高知県) 専務取締役 有澤 綾

豊かな表現で具体的な感想を伝えてくれることが印象的でした。

– 来場者の印象をお聞かせください

フランス人の方は、豊かな表現で具体的な感想を伝えてくれることが印象的でした。例えば、フルーツのような香り、ではなく具体的に何のフルーツか、というところまで伝えてくれます。また白ワインのようだという意見もとても多かったです。ワインのタンニンに喉が慣らされているので、濃厚な日本酒が良いという声もあり、新しい視点での可能性を感じました。私たちが作る日本酒は時に、強すぎる、濃すぎるという意見も日本では聞かれる中で、フランス人から評価された点で大変自信につながりました。来年のコンクールはより一層厳しい戦いになると思いますが、変わらずに誇りを持って酒造りをしていきたいと思います。

プラチナ賞 西の関 手造り純米酒

萱島酒造有限会社(大分県) 正池有希子 海外マーケティングマネージャー

フランス料理との相性も認められ選ばれたと思います。

– 受賞の感想をお聞かせください

比較的香りが高いタイプの日本酒が受賞している中、そうではないタイプの西の関が選ばれたことに、まずとても驚いていますが、選ばれた理由として、どっしりとした味が評価された点ではないかと考えています。このお酒は、どちらかと言えば初心者向きではなく、色々なお酒を飲み続けた人が帰ってくる場所、つまり上級者向けとも言われています。食事に合わせながら、ちびちびと長いこと楽しみ続けられるお酒作りを目指している私たちにとって、日本、九州の料理だけでなく、フランス料理との相性も認められ、選ばれたことをとても嬉しく思います。

プラチナ賞 富久長 純米吟醸 八反草純米大吟醸

株式会社今田酒造本店(広島県)代表取締役杜氏 今田美穂

「吟醸を世界の言葉に!」

-「Kura Master」に出品しての感想をお聞かせください

第1回「Kura Master」で、まったく思いがけずプラチナ賞トップ10に選出いただき、本当に嬉しく感じています。受賞した「富久長 純米吟醸 八反草」は、弊社が20年ほど復活栽培に取り組んでいる、広島県最古の酒米「八反草」を使用しています。「八反草」は野性味が強く、個性ある味わいが日本国内の鑑評会には不向きであるとかもしれない、と感じていました。それだけにフランスで評価いただいたことに、今までの年月が報われる思いです。また、「Kura Master」サイトでのグザビエ・チュイザ氏のご挨拶には、大変感銘を受けておりました。パリでそのお人柄に触れることができ、故郷の広島杜氏の先輩方が吟醸造りにかけられてきた情熱が、国境を越えて伝わっていることを確信して感動を覚えました。この機会を実現してくださった宮川圭一郎運営委員会代表、SALON DE SAKE主催のシルバン・ユエ氏、運営に携わって下さった皆様に深く感謝申し上げます。ありがとうございました。

最後に「吟醸を世界の言葉に!」。

プラチナ賞 基峰鶴 純米吟醸山田錦

合資会社基山商店(佐賀県) 部長 小森綾子

このコンクールは、これから日本酒がフランスへ広がる為にとても重要なものとなると思います。

-「Kura Master」に出品しての感想をお聞かせください。

FacebookやTVなどで取り上げられて素晴らしい反響を拝見しております、パリへ行けなかったとこをとても残念に思っております。「サロン・デュ・サケ」、「Kura Master」はフランス人による、フランス人の為のサロン・コンクールであり、とても素晴らしい企画だと思います。このコンクールは、これから日本酒がフランスへ広がる為にとても重要なものとなると思います。

– フランス人に試飲してもらった感想をお聞かせください

まだまだ、日本酒を飲んだ事がない方が多く、濃厚でアルコールの高いものだと思われがちな印象でしたが、皆さん美味しいと飲んでくださいました。

味わいも深く、蔵ごとの個性もありとても楽しまれて頂けたと思います。

日本酒はワインと同じ醸造酒ということもあり、受け入れやすいものなのかも知れないと思いました。フランスで、日本酒は知る人ぞ知る状態なのでこれからの可能性は大きいと思います。お酒だけでも楽しめ、何より食中酒として万能な日本酒をフランスの方にも知って頂けたらと思います。

Kura Master 運営委員会

代表 宮川圭一郎

白ワインに代わる唯一のアルコールが日本酒だと感じています。

– 第一回「Kura Master」を終えての感想をお聞かせください。

このコンクールが壮大な事業であることをまずは知りました。初年度はすべての準備が0からスタート。多くの人のご協力に加え、多大なる時間を要しました。公平性や透明性、そして、何よりもこの情熱を人に正しく伝えるということへの深遠なる意義を知ることになりました。とはいえ、このコンクールにより多くのフランスのプロの方々が日本酒をワインのように審査し、コメントを記載し、料理との相性を理解するようになる一助になったと、ここに確信を致しました。これから日本酒に対して一層深く理解をしていただけることでしょう。

– 来年にかける意気込みをお聞かせください。

Association de Kura Masteとは、日本酒のコンクールを通して、日本酒の消費拡大を目的に酒文化の知名度向上、酒蔵ツーリズムの発展、及び、ワインのプロに、日本酒の教育啓蒙活動、料理との相性研究(=Aventure)等を推進していく協会です。歴史・文化・観光など世界に大きな影響力を持っているこのフランスの地から、フランスに住んでいる多くの皆様と、日本酒を通して、積極的に日本を広くこの地にアピールしていくことにあります。

この活動により、次世代の育成と強化を図りながら、国際的なネットワーク構築も行い、世界と日本の未来に貢献して行くことを強く望んでおります。来年は、より一層フランスにおける日本酒の認知を広げて参ります。これからのKura Masterの活動にどうかご期待ください。

インタビュー:広報担当:浅岡